とある画家のアトリエ

動物たちにストーリーを与える絵描きの活動記録

わたしとあなた

共感力の高い人がいる。

そういう人は人の気持ちによく気がつく優しい人が多いと思うのだが、それが行き過ぎると自分と相手の区別がつかなくなり、人のことを自分のことのように感じ苦しむことになるような気がする。

というのも、実際に二十代の頃の私は行き過ぎた共感力のアンテナを無意識に張っていたようで、相手の感情が自分のことのようにダイレクトに流れ込み、その人自身のように心が動きすぎて寝込んだりした時期があったからだ。周りを見ていても、モノづくりをする人は創作のインスピレーションをさまざまなところからキャッチするためか、その力が高い人が多いと感じる。

ある時これでは身が持たないと、相手と自分の感情を切り離すことを試みた。それは人の感情が重なりそうになる時「これは人のものであって自分のものではない」と強く思うようにしたことだ。その人の話を音声としてだけ聞くようにもした。そんなことを続けていくうちに、他人と自分の感情の区別ができるようになっていき、受け取るものと受け取らないものが明確にわかるようになっていった。

 

人に共感し、無条件で何かしたいと思う気持ちになれることは素晴らしいことだと思う。しかし必要以上に気持ちを重ね過ぎて人との境界線を超えてしまったり、自分の体調を悪くしたところで事態は好転しない。お互いの適度な距離を探しながら、本当の意味で良い付き合いができればと思う。